株式会社サーモ理工-赤外線導入加熱装置の加熱原
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近赤外線が物体に照射されるとその物体の温度は上昇します。
赤外線には、放射、集光、反射、透過、屈折等、光と同じ性質があり、これらの特性を巧みに利用しているのが赤外線導入加熱方式です。

実際の赤外線導入加熱装置は、赤外線ランプと楕円体反射ミラーおよび透明石英製の導入ロッド等から構成しております。

1図のように楕円体反射ミラーの第1焦点F1に、熱源となる赤外線ランプを設置します。点灯したランプから放射された赤外線は楕円体反射ミラーに当たり反射し、第2焦点F2に集光します。

F2に導入ロッドを設置し、集光した赤外線をこの中に導き入れます。
赤外線の一部は透過直進し、一部は英ロッドの内壁面で全反射を繰り返します。
 1図 赤外線導入加熱装置の原理  
[ 全反射伝送式 ]
Figure2

2図
2図のように導入ロッドに入射する赤外線の入射角をθ、屈折率nを有するロッド内への屈折角をψとするとその内壁面Rにおける入射角90°−ψの全反射条件は下記の式で表されます。



上記の条件式を満足する入射角で入射した赤外線はロッドの内壁面Rで全反射し、内壁面Rから外部に射出することなく全反射をくり返し伝送され、その先端より放射します。
その近傍に試料を置くと赤外線を吸収し温度上昇します。

従来まで熱を伝える基本的な形態として伝導、対流、放射の3つの種類とされていますが、赤外線ランプから放射した赤外線を楕円体反射ミラーで集光し、ロッド内を全反射をくり返しながら熱を伝送する方式は、このいずれにも属さない「全く新しい熱の伝送方式」であり、「全反射伝送」又は、「多重反射伝送」ともいえます。

また、この伝送加熱方式は熱源から加熱物まで熱が殆ど外部に放出することなく「閉空間」で伝送されますので、省エネの点からみても極めて効率的な伝送方式といえます。

従来までの抵抗型電気炉、赤外線加熱炉の場合、加熱試料はその炉体内熱源の近くに設置することで温度上昇しますが、赤外線導入加熱方式では加熱試料は移動せず、熱源から赤外線を試料近房まで伝送し、照射・昇温ができます。